管理可能性をもたない P2P ファイル共有ネットワーク禁止論

高木浩光@自宅の日記 - Winnyの問題で作者を罪に問おうとしたことが社会に残した禍根
三行ぐらいでまとめてもらいたいと思いつつ。

この性質を備えるWinnyなどのソフトウェアは、コンピュータウイルス(ワーム)と同じ性質を持っていることに注意したい。ウイルス(ワーム)は、害を及ぼす、人の意思に反する動作をさせるなどの特徴の他に、(システム管理者の管理範囲を越えた)自動複製拡散機能を持つことが特徴である。Winnyは、ワームが止められない(止めにくい)のと同様の原理によって、任意のファイルの自動複製拡散機能を実現していると言える。

Antinnyなどの暴露ウイルスは自動複製拡散機能まで備えていない。Winnyの自動複製拡散機能(管理者の管理範囲を越えた)を利用しているからだ。言わば、Winnyはウイルス(ワーム)プラットフォームであり、(前記の性質を持つ)そのようなソフトウェアの使用は社会的に危険なものと見なすべきである。

管理可能性の無い(?)ネットワーク = ウィルスプラットフォーム論キタコレ。

管理可能だったら、責任問題になるから、ゴニョゴニョ…みたいな話はあったような気がするけど、管理可能な P2P ファイル共有ネットワークっていうのは技術的に難しい*1よね。

しかし、管理可能性を持った P2P ファイル共有ネットワークって、どんなものだろう。全部のファイルに署名と寿命をつけることを義務化しておいて、それからアップロードノードを特定し、そのノードを現実世界で処理するぐらいしか思いつかないなぁ。

これまでに書いてきた通り、Winnyは、従来のファイル交換ソフトと異なり、利用者達が意図しなくても、多くの人が流通し続ける事態は非倫理的だと思うような流出データであっても、たらい回しにいつまでも流通させ続けるように設計されている。

データの入手性*2と、アクセス負荷分散性能と、匿名性を同時に実現してしまう、単純かつ効果的な手法が、データの複製機能*3なんですよね。まさに、現在の P2P 技術の根幹をなす部分。

で、管理可能性の無い P2P ファイル共有ネットワークは、法律で禁止すべきだとかそういう論が出てくるわけですが、そうじゃなくても、責任を追及される時代に入ってきたんですかね。インターネットも大人になったものです。もはや、インターネットを安易に実験場に使うことは許されないのですね!!!

参考: http://www.yamdas.org/column/technique/fuddefj.html

*1:はいはい、語弊がありますよ。

*2:なんていえばいいのかな?

*3:前二つは、ダウンロードによる複製、匿名性は、中継によるものが大きいか